薄毛の悩みを、病院に頼らず自分の力で解決しようとすることは、一見、主体的で前向きな行動のように思えます。しかし、その裏には、いくつかの見過ごせない「リスク」が潜んでいることを知っておく必要があります。正しい知識なくして自己流の対策に固執することは、かえってあなたの髪の未来を危険に晒すことになりかねません。最も大きなリスクは、「貴重な時間を失ってしまう」ことです。特に、薄毛の原因がAGA(男性型脱毛症)である場合、それは進行性の脱毛症です。あなたが効果の不確かなサプリメントやマッサージを試している間にも、水面下ではヘアサイクルの乱れが静かに、しかし確実に進行し、髪の毛を作り出す毛母細胞は少しずつその活力を失っていきます。そして、いよいよセルフケアの限界を感じて専門医を訪れた時には、症状がかなり進行してしまい、治療の選択肢が限られていたり、改善に長い時間が必要になったりする可能性があるのです。薄毛治療において、「早期発見・早期治療」は何にも勝る鉄則です。自己流の対策は、この最も重要なタイミングを逃してしまうリスクを孕んでいます。次に、「間違ったケアで頭皮環境を悪化させてしまう」リスクです。例えば、頭皮の皮脂が気になるといって、洗浄力の強すぎるシャンプーでゴシゴシと洗いすぎると、頭皮は乾燥し、バリア機能が低下して炎症を引き起こしかねません。また、良かれと思って行う強すぎる頭皮マッサージは、毛細血管を傷つけたり、健康な髪まで引き抜いてしまったりする可能性があります。インターネット上には、科学的根拠の乏しい、誤った情報も溢れています。それらを鵜呑みにしてしまうと、改善どころか、さらなるトラブルを招くことにもなり得ます。そして、精神的なリスクも無視できません。結果の出ない努力を続けることは、「自分は何をやってもダメなんだ」という無力感や自己否定に繋がり、大きなストレスとなります。このストレスが、さらに抜け毛を助長するという悪循環に陥ってしまうのです。自分の力でできることには、限界がある。その事実を認め、適切なタイミングで専門家の助けを求める勇気を持つこと。それが、リスクを回避し、確実な結果へと繋がる、最も賢明な道なのです。
薄毛を自分で治そうとするリスクとは