鏡の前で自分の髪をセットしようとするたびに地肌が透けて見える範囲が広がっている事実に気づき始めたのは今から三年前の初夏のことでした。最初は季節の変わり目による一時的な抜け毛だろうと自分に言い聞かせて高価な市販の育毛シャンプーを試したり頭皮マッサージを念入りに行ったりしていましたが半年が経過しても状況は一向に改善せずむしろ生え際の後退は確実に進行していました。このままではいけないという焦燥感に駆られながらもいざAGA外来という専門のクリニックを受診しようとするとそこには言葉にできないほどの心理的な高い壁が立ちはだかっていました。病院に行って薄毛を相談すること自体が自分の老化を認めるようで恥ずかしく誰かに見られたらどうしようという自意識過剰な不安が僕の足を止めていたのです。しかしある日友人が撮ってくれた写真に写る自分の後頭部のあまりの寂しさに衝撃を受けついに意を決してスマートフォンの画面からAGA外来の予約ボタンを押しました。当日緊張で震える手でクリニックのドアを開けるとそこにはホテルのラウンジのような落ち着いた空間が広がっておりスタッフの方々も非常にプロフェッショナルで僕のプライバシーを最優先に考えた動線が確保されていました。診察室で医師と対面した際僕が最も恐れていたのは「もう手遅れですね」という宣告でしたが担当の先生は僕の不安を汲み取るように優しく微笑み最新のマイクロスコープで僕の頭皮の状態をモニターに映し出してくれました。そこで見たのは細く弱々しくなってしまった髪の毛が本来の寿命を全うできずに抜け落ちていくヘアサイクルの乱れという医学的な現実でした。先生はAGAが進行性の疾患であることそして適切な内服薬と外用薬を組み合わせることでこのサイクルを正常に戻せる可能性があることを論理的に説明してくれました。提示された治療プランは僕の予算や生活スタイルに合わせたもので副作用のリスクについても包み隠さず話してくれたことでこれまで抱えていた漠然とした恐怖が「向き合うべき課題」へと変わった瞬間でした。治療を開始してから最初の二ヶ月間は初期脱毛という現象で一時的に抜け毛が増え精神的に辛い時期もありましたが外来での定期的なカウンセリングでそれが新しい毛が生えてくるための準備期間であることを繰り返し教えてもらったおかげで挫折せずに済みました。半年が過ぎる頃には鏡を見るのが苦痛ではなくなり一年後には美容室で「髪にコシが出てきましたね」と言われるまでに回復しました。この体験を通じて僕が学んだのは専門家の門を叩く勇気がどれほど人生を好転させるかということです。今ではかつての自分と同じように一人で悩み続けている友人に対してAGA外来は自分をアップデートするための前向きな選択肢なんだよと自信を持って伝えられるようになりました。
初めてのAGA外来受診で見つけた新しい自分への道